音の要素 2022.3.8

物の本を読むと「音の4要素」なる言葉が載っています。

曰く「音高」「音量」「音長」「音色」なのだそうです。
つまりこの4つが決定されれば、ある音がどのような音なのか記述できる、という訳です。

この説明は一見正しそうに聞こえます。
記譜された「音」は、情報としてこの4つの要素を持っているかのように書いてありますから。
でもそれは「楽譜から音楽を作る」という、本来とは逆の方向から見た間違った認識です。

 

この所謂「4要素」の中で、1つだけ種類(視点と言っても良いでしょう)の違うものがあります。
それはどれだかお分かりでしょうか?

「音色」と思った方が多いかも知れません。
高さ、大きさ、長さ、と比べると音色だけが数値で表せないように見えますし、
音色だけが定義が曖昧な気がする方もいるでしょう。

この辺りの議論はタイムスケールによって結論が変わります。
大雑把に拍単位で捉えるなら、4つの要素で考える事も不可能ではありません。
逆に非常に細かく数百万分の1秒というスケールで考える場合は、要素は音量だけになります。

ここでは体感的に分かり易い、人間が知覚出来る最小の時間の長さ(凡そ0.1秒と言われています)の範疇で考えてみましょう。

その場合、正解は「音長」です。
「音高」「音量」「音色」の3つは横軸に時間を取った時に縦軸の数値で表す概念になります。
つまり鳴っている音を極小の時間単位で刻んだ場合、刻んだ時間夫々に対して
「音高」「音量」「音色」の3つの要素が存在する、と考える事が出来るのです。

この「連続した時間に対する3つの要素の変化」という視点がないと、演奏に際して大きな支障を来す事になります。