調の判定 2022.12.5

「調性の見分け方が判らない」というご相談が多いので、簡単な見分け方を。

 

理論的(文法的)な判断方法は各種楽典をお読み頂けば分かりますが、

最初からそのように判断をするのはあまり音楽的な方法とは言えません。

 

ここではもっと直感的な方法をご説明します。

 

 

まず、「調」とは何かを考えてみましょう。

 

長短調については「1オクターブ内の12音の中から使用する7音を選ぶルール」である
と言うことが出来ます。
 ※ 細かいことを言うと、1オクターブの中にある音は12ではありませんが、ここでは単純に鍵盤の数と考えて頂けば結構です。

 

そして、このルールに従って選ばれた音を順に並べたものを「音階」と言います。
「長調」で使われる音を並べたものが「長音階」、
短調」で使われる音を並べたものが

「短音階」です。

この「7音」を選ぶルールとは、
「全音間隔の連続した4音の組(例えば F-G-A-H)と3音の組(C-D-E)があり、この2つの組の

(E-FとH-C)が半音となる」というものです。
このように選んだ音を低い音から順番に並べると下記のようになります。

 

【第1音(全音)第2音(全音)第3音(半音)第4音(全音)第5音(全音)第6音(全音)第7音(半音)第1音】
これを長音階と言います。

そして短音階は、このようになります。

【第1音(全音)第2音(半音)第3音(全音)第4音(全音)第5音(半音)第6音(全音)第7音(全音)第1音】


短音階は長音階の第6音を第1音とする音階(つまりは同じもの)だということが

お分かりになるでしょう。

長音階の第1音をCとすると、その音階は【C - D - E - F - G - A - H - C】 = C-dur(ハ長調)

となりますし、第1音をEsにすれば【Es - F - G - As - B - C - D - Es】 = Es-dur(変ホ長調)

となります。

 

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多くの方が普段何気なく耳にする音楽の殆どは長短調による音楽ですから、殆どの方はこの7音の

セットと様々な曲の作りを無意識のうちに覚えています。
文法を考えなくても言葉を話すことが出来るように。
ですから、調性を見分けるには理論で考えるよりも、まず自分の中の自然な感覚に耳を傾けること

が重要になります。

さて、ここからが調性を見分ける訓練方法です。


ある旋律を1〜2小節程度演奏したら、その旋律が最終的にどの音で終わるとしっかりと
終わった

感じがするのかを頭の中で歌って試してみて下さい。
これかな?と思う音があれば、まずはその音を。
その音が違うと感じても、闇雲に色々な音を試すのではなく、順番に。
さっぱり見当が付かないという場合もどの音からでも良いので順番に1つずつ音を想像してみます。
実際に音を出して(歌って)も構いません。

出来るだけ丁寧に、旋律を演奏→Cを歌う、もう一度旋律を演奏→Cis、演奏→D・・・のように

毎回元の旋律を演奏してから1音ずつ試すのが良いでしょう。
明らかにその音階で使われない音が判断できるなら、その音は省いても構いません。

精々12回試行すれば、どの音が最も終わった感じがするのか分かります。
もしもどうしても分からない場合は、別の旋律で試してみて下さい。

この「終わった感じがする音」がその調の第1音(主音)です。
そして第1音から始まる音階を想像して、長調か短調かも判断します。
第1音がGで短調だと判断出来たら、その旋律の調性はg-moll(ト短調)ということになります。

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私達が演奏の際に調性を気にかけるのは、調性音楽というものが主音に向って収束する音楽

だからです。
その旋律が最終的にどこへ向かうものなのかが分からないまま成した演奏は

説得力に欠けるものにしかならないのです。
極論すれば、必ずしも演奏している曲の「調性」が分かる必要はありません。
しかし、その旋律がどんな音で終わろうとしているのか(実際にその音で終わるかどうかには

関わりなく)を想像出来ることは必須なのです。

必要なのは「調性を答えられること」ではなく「終止音をイメージできること」なのです。