発想標語とは?
「Andante」「Moderato」「Allegro」などのその曲の発想・表情などを大まかに表す言葉のことです。
「発想標語」を「発想記号」と表す場合もありますが、ここでは「標語」を使います。
これらを速度標語(速度記号)とする表記もよく目にします。
発想標語をテンポとイコールだと誤解している向きも多いようですが、関連はあるとはいえ
決して同じものではありません。
そもそも速度はテンポとは違うものですから、「速度標語」は相応しい言葉とは言えません。
参考【テンポ】 https://cms.e.jimdo.com/app/s425a23816196fefb/p6feb0c6b127dbde7?cmsEdit=1&fbclid=IwAR1UWLWEmVl8dg70K4A6ff0j7_RkL3waDCMfQQ2CkDpfNMum-gLCQXzZNBM
元々は、という話をするなら最初期に書かれた発想標語である「Adagio」「Allegro」は、
恐らくテンポが「遅い」「速い」程度の意味で付けられていたと思われます。
しかし、その後に使われるようになった「Largo」「Lento」「Grave」「Andante」「Moderato」
「Vivace」「Presto」等々は、より細かいニュアンスを伝えるために拡大されてきた言葉です。
今後も拡大され続けるでしょう。
これらの標語には制限はありません。
習慣的によく使われる標語はありますが、原則的に何語で何を書いても構わないのです。
例えば「朝目覚めた時、パンツが濡れいているに突如気付いた時の気分で」などと描いても一向に差し支えない訳です。
さて、この発想標語について一概に「正しい意味はこれこれです」と解説するのは不可能なので
ここでは簡単なヒントと良くある間違いを書いておくに留めます。
【ヒント】
頻繁に使われる発想標語は概ねイタリア語の単語ですので、意味を調べる際は音楽辞典などではなく
伊和辞典を使ってください。
イタリア語の意味と日本語の意味が1対1に綺麗に対応するような単語は殆どありません。
日常の言葉として使われる意味とその使用例を調べ、その意味するところを様々にイメージして
ください。
最後にその標語が付されているその1曲に最も相応しいと思われるシュチェーションを想定して
ください。
【よくある間違い1】
非常によく見かけるのが「Andante(アンダンテ)は歩くような速度で」「Allegro(アレグロ)
は快速に」のような「速さ」と関連付けた解説です。
まずテンポと速度を混同している時点でお話になりませんが、速度をテンポに言い換えてもやはり
正解とは言えません。
「ゆったりと」と「ゆったりとしたテンポで」は意味が違うのです。
このような解説は見るに値しませんので無視するに限ります。
このように覚えていた方は即座に忘れ、もう一度最初から意味を調べ直してみてくださいね。
【よくある間違い2】
メトロノームに記された発想標語、Largoは40〜50、Andanteは63〜76、Allegroは120〜152
のテンポで演奏しなければならない、という言説です。
これはもうデマと言っても過言ではありません。
偶々そのテンポで演奏しても良い曲もあるでしょうし、何の根拠もありません。
仮にメトロノームの発想標語を参考にして楽譜を書くような作曲家がいたとしても、
テンポを指示したければメトロノーム記号を書けば良い訳ですからやはりテンポ以外の指示と
考えるよりありません。
このように信じていた方は今すぐに考えを改め、決して再生産しないようお願い致します。
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メトロノームに発想標語を書き入れたのが誰なのか、寡聞にして知りません。
ご存知の方がいらっしゃいましたら是非ご教示下されば幸いです。