楽譜の選び方 2022.9.28

新しく楽譜を買う時に同じ曲でいくつかの版がある場合、どれを選んだら良いのでしょうか?
まずは一般論として
選ばない方が良いであろう楽譜の特徴をいくつか挙げておきます。

 

・譜面を書く際の慣例に従っていないもの。具体的には、

 

 a)小節番号の付け方で、最初の小節に小説番号「1」が付いているものや 

  1番括弧と2番括弧の小説番号が違うもの、不完全小節を1小節として数えているものなど。

 

 b)符尾(ぼう)の長さや連桁の傾きがおかしいもの。

  詳しいルールを知らなくとも、よく楽譜を見ている方なら違和感があります。

  分からない場合は老舗出版社の譜面と見比べると分かります。

 

 c)スラーの形が歪んでいるもの。

 

 d)音符同士のスペースが不自然なもの。簡単に言うと見栄えの悪い譜面。


・表紙がダサいもの。

 

・紙や印刷の質が悪いもの。

 

・極端に安価なもの。

 

 

良い楽譜を作るには高い技術と深い知識、そして膨大な時間を要します。
音楽への愛情や敬意を持ち、また自らの仕事に矜持を持つ者であれば、上に挙げたような

雑な仕事は決して許しません。

雑な仕事をしている楽譜は当然の帰結として、中身も信頼性の低いものになりがちです。


また譜面は上等に見えるのに紙や印刷の質が低い場合、これも全てではありませんが海賊版や

版権切れの再版(つまり内容が古い)などである可能性があります。

 

値段に関しては、国内版と輸入版は2〜3倍程度の価格差が出る場合もありますし、

フルート曲とピアノ曲では販売見込数が違う為そもそもの価格設定が違いますので、

同じ曲の中で版ごとの比較した場合の話です。 

 

 

この段階でまだ候補がいくつか残っている場合は、下記を参考にしてください。

飽くまでも良い楽譜である「可能性が高い」と言うだけで絶対ではありませんが。

 

・校訂者の有無

  明記していないものよりは明記してあるもの。

・クリティカルノートの有無

  ないものよりはあるもの。

  但し、全集から抜粋した楽譜の場合は全集版にしか掲載しないこともあるので参考程度に。

  また、校訂者が付加した部分が明記してあるもの。

・出版年

  あまりに古いものと新しいものなら新しい方。

 

個人的には解釈版(編集者の個人的な解釈が反映された版)の使用はお勧めはしません。

原典版を使った上で、解釈版を参考にすることを全否定はしませんが、最初から解釈版のみを使うのは

避けるべきだと思います。

 

楽譜には必ずと言って良い程ミスプリントがあります。

少しでも怪しいと感じる箇所があったら複数の信頼できる版を見比べることをお勧めします。

 

 

ご注意

 解釈版=校正(校訂)版と解説している記事を見かけましたが、これは間違いです。
 原典版にも校正者がおり、寧ろ原典版こそ厳密に校正がなされています。