アクセント 2021.7.30

アクセントの奏法は楽器によってかなり異なります。
管楽器の場合、よく考えられているようにアクセントが付いた音を殊更に大きく(強く、と思っている方も同じです)演奏することは多くはありません。
その音を大きく演奏すること自体は必ずしも間違いではありませんが、多くの場合効果が薄いと思っています。


よく使う方法はこのようになります。

1)アクセントの音の直前に音がある場合はその音を少しだけ短くする
 (アクセントの音との間に僅かに隙間を作る)
2)アクセントの音が含まれるフレーズの音量で音を出す
3)発音の直後に急激に(極短時間で)デクレッシェンドをする
4)必要な時間、デクレッシェンドし終わった音量を保つ

要は音量差の少なめのfpです。
大抵はこれで充分ですが、よりアクセントを際立たせたい場合は上に加えて立ち上がりの早いタンギングを用います。

それでもまだ不十分だという場合は、発音時の音量を少しだけ大きくします。

 


追記 2021.10.21

【因みに】
「アクセントの意味は「強調」。フォルテのフレーズの中でピアノで演奏することでも強調することが出来る」という主張を見かけることがあります。
一見、楽譜をよく読み演奏の可能性をとことん考えて出てきた逆説的な意見ぽいので、納得しそうになりますが、これは完全な間違いです。

こういうのを「屁理屈」と言います。

この手の間違いは楽譜から音楽を作ろうとする為に起こります。
「楽譜」は作曲家の頭の中にある完全な音楽を極めて不完全な楽譜という形に圧縮したものです。
ですから楽譜から音楽を作るのではなく、今演奏している音楽からこの楽譜が書かれ得るか?ということを絶えず検証する必要があります。
演奏した音楽に対して他にもっと良い(簡単な or 分かり易い)表記があるのなら、その演奏は間違っている(少なくとも作曲者の意図とは違う)と考えられます。

フォルテのフレーズの中である音だけをピアノで演奏して欲しい場合、作曲家はその音にアクセントを付けるでしょうか?
答えは自明ですね。