「どうしたらフルートを大きな音で吹けるようになりますか?」という質問を受けることが
ままあります。
結論から言ってしまうと
フルートで大きな音は出せません。
フルートで出せるのはp(ピアノ)以下の音だけです。
と、ここで話が終わってしまっては夢も希望もなくなってしまうので、もう少し詳しく話を
してみましょう。
そもそもどうして大きな音を出したいのですか?
「もっと大きな音を出したい」と仰るのはほぼ全員が吹奏楽やオーケストラ、ビッグバンドなど
比較的大きな編成の中でフルートを吹いている方です。
必要なのは『大きな音』ですか? それとも『良く聞こえる(通る)音』ですか?
大きな音を出そうとして、無闇に息の量を増やす、息のスピードを上げる、力を入れて吹くなど
するほどに音は痩せ、響きがなくなってゆきます。
こうなると耳元では大きく(=うるさく)聞こえたとしても、聴き手には届かなくなります。
「どうすれば良く聞こえる音を作ることが出来るのか?」という質問にはここで答えることは
出来ません。あなたの吹き方を実際に聴かなければ、有効なアドヴァイスは出来ないからです。
ヒントは少ない、ゆっくりした息で作る美しい音にあります。
最後に、特に吹奏楽の指導をされている先生にお願いがあります。
決して「もっと大きな音を出すように」という指導をしないでください。
正しい奏法が身に付いていない状態で「大きな音を出そう」とすることは力むことに直結します。
結果、美しくもなければ聴衆に聞こえもしない音しか出せないようになります。
一度この悪癖が付いてしまうと、修正するには大変な時間と労力を要します。
フルートの音が聞こえない場合には、「もっと美しい、ハーモニーに合った音を出すように」
と仰ってください。