初めての楽器の選び方 2021.3.23

これからフルートを習ってみようという方によく訊ねられるのは「どの程度の楽器を選べば良いのか?」

と言うことです。

 

結論から言うと、YAMAHAの一番安いモデルが(金額的に)お奨めです。
これは初心者には高い楽器は使いこなせないとか、生意気だからとかいった理由ではありません。

基本的には道具は最初から良い物(高い物が必ずしも良いものではありませんが、良い物は必ず高価です)を使った方が絶対に良いのです。

ただ、品質の良いフルートは沢山ありますが、どのフルートがあなたにとって良いフルートなのかは最初はわからないのです。

ですから2〜3年後に買い換えることを前提として、最初は一番安い楽器というのが渡しとしては一番お奨めの方法となります。

まず100万円の楽器を買って、数年後にまた買い換えても問題ないという方は、最初からお好きなメーカーの一番良い楽器を買いましょう。

 

因みに、ちょっとやってみて吹けるようになりそうな目処が立ったら買うことにして、ひとまずレンタル。というのは一見合理的に見えますが、お奨め出来ません。
初めての楽器は大概はそう簡単には吹きこなせません。

「ちょっとやってみて、出来そうなら続ける」という程度のモチベーションでは殆どの方は続きません。

「絶対吹けるようになる!」という決意がなければ、余程運の良い人と決意の固い人以外は挫折するのが目に見えています。

簡単に投げ出さない為には、簡単には投げ出せないだけの金額をかけるのが大人のやり方だと思います(子供はがむしゃらにやっている内に投げ出したくなる時期は過ぎることが多いのであまり問題になりません)。
幾らくらいが簡単には投げ出せない金額なのかは人に拠るでしょうが、多くの方には10万円はそれほど安い金額ではないでしょう。

そこでYAMAHAの最安モデルです。
最安と言っても税込み9万円程度、悪くない金額です。

世の中にはもっと安いフルートもないわけではありませんが、これはフルートっぽい物体をお部屋に飾っておきたい、という人以外は手を出さない方が無難です。

 

さて2〜3年しっかり練習をすると、多くの方が最初に買った楽器では物足りなくなってきます。

そうでなくとも3〜5年も使い続けると、パッドが傷んだりキーにガタがきたりして、オーバーホールが必要になってきます。

パッドの交換、調整、磨きから場合によってはメッキのかけ直しといった修理を行うと4〜6万円程度の費用がかかるでしょう。

勿論9万円の楽器もちゃんと手入れをし続ければ一生使い続けることはできますが、オーバーホールの費用自体は9万円の楽器も100万円の楽器もさほど変わりません。

ここで、9万円の楽器は減価償却したものと思って買い換えます。

 

初めに少しお高めの楽器を買ってしまい、ちょっと物足りなくなってきたけれど買い換えるのは辛い、なんてことになってしまうくらいなら、初期投資は最小限にして買い換え時に(ご自身のフルートの好きさ加減と懐具合に応じた)一番良い楽器にするのが効率的だと私は考えています。


まだそんなに上手に吹けないのに、買い換えて大丈夫? と不安な場合は楽器店に行って(出来れば一番上のグレードの)フルートを試奏してみましょう。

今の楽器との差が全く感じられないのなら買い換えは時期尚早ですが、少しでも違いを感じるのなら充分上達しています。楽器をグレードアップする事で上達のスピードも早まります。

 

 

※1  最初にメーカーとしてYAMAHAを出しましたが、他のメーカーではいけないということでは

  ありません。飽くまで金額的に一番買い換え時の負担が少ないのがYAMAHA製ということです。

  金額さえ問題なければムラマツでもサンキョウでもパールでもミヤザワでもマテキでもアルタスでも

  コタト&フクシマでもブランネンでもヘインズでもパウエルでも構いません。

 

※2  出来る限り在庫が豊富でリペアマンがいるお店で購入するのが望ましいです。

  後々そちらのほうがお得です。

 

※3  レッスンを受けているorこれから受ける予定の先生がいる場合は、

  購入する前に必ず相談しましょう。

  「そんな楽器はあなたには勿体ない」などと言う先生なら別の先生を探した方が良いかも知れません。特定のメーカーだけを勧める先生も。